税理士法人プログレスサポート
資本金の額は会社の資金調達金額で決まってくるのが原則と考えますし、また、資本金の額が多ければ多いほど対外的な信用も増すのも事実です。
ただ、資本金が1千万円、1億円で税金の扱いが異なりますから、節税のメリットについても考えて資本金を決めることをすすめます。
①外形標準課税が適用される
法人事業税の「外形標準課税」の対象となります。
外形標準課税は所得に比例する所得割の他に、付加価値(簡単にいうと報酬給与や支払利息、賃借料、単年度の損益の合計)や資本金の金額に応じて課税される付加価値割、資本割が生じます。
そのため所得が赤字であっても付加価値割や資本割の事業税の支払いが生じることになります。
②交際費
交際費について損金算入できません。
資本金が1億円以下であれば600万円までの交際費の90%を損金算入することが可能です。
③法人税率
資本金1億円以下の場合には800万円までの所得に対しては19%の低い税率が適用されます。
800万円を超える所得は通常の23.4%が適用されます。
④特別償却や税額控除
中小企業のみに認められる通常の減価償却に加えて、特別に償却できる特別償却や、法人税より控除する税額控除の適用がされません。
⑤貸倒引当金
資本金1億円以下の場合、売上債権に対して貸倒実績率か法定繰入率どちらかが適用できます。
従って、貸倒実績がなくても、法定繰入率を利用すれば貸倒引当金繰入を損金算入することが可能で、その分の税金が少なくできます。
例えば、3,000万円の売上債権のある小売業の場合では貸倒実績がなくても、10/1000の法定繰入率を用いると30万円を貸倒引当金の繰入により損金算入が可能となり、その分節税することが可能となります。
消費税について課税売上高が1千万円を超えると課税事業者になりますが、資本金が1千万円未満の場合には、課税売上が1千万円を超えても設立より原則として2事業年度は納税義務は免除されます。
よって、消費税の支払いより受取が多くて納税する必要があっても納めずにすみます。
ただ、場合によっては課税事業者を選ぶとよい場合もあります。